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*この話にはオリキャラが出ています。苦手な方はご遠慮ください*
静かに降り続く雨。
鳴り響く雷。
その中でぼくは連なる罵倒をただただ黙って聞いていることしかできなかった。
静かに降り続く雨。
鳴り響く雷。
その中でぼくは連なる罵倒をただただ黙って聞いていることしかできなかった。
2
ギーゼラに告げられて、ぼくが向かった先は中庭だった。
この雨の多い時期に咲くきれいな花達は、ユーリがチキュウから持ってきたもので
『アジサイ』
というらしい。
その花に囲まれながら一人の女が立っていた。
女は濡れないように真っ白なコートを身に纏っていた。
おそらくぼくを呼び出した張本人だろう。
雨にぬれるのを防ぐために、ユーリがチキュウから持ってきた『カサ』をつかい、
ぼくはその女のもとへ向かった。
「こんにちは」
にこり
と音が出るような笑みで女はぼくに声をかけてきた。
今までぼくを呼び出してきた女となんら変わりの無い、
どこにでもいる気の強そうな貴族らしき女だった。
ぼくが声を出せずにいると再び女は声をかけてくる。
「はじめまして。フォンビーレフェルト卿ヴォルフラム閣下。私の名前は クリスと申します。
…貴方の叔父上様、シュトッフェル様の勧めでこちらに参りましたの」
なんだと…!
変わらぬ笑みでそう告げた彼女の言葉に思わず声をあげそうになる自身を
何とか落ち着かせて言葉を返す。
「何の用だ」
一言返すのが精一杯だった。
「…いえ。ただシュトッフェル様は私に生き抜きも必要だと、
王都に遊びに出かけたらどうかとおっしゃってくださっただけですよ」
ぼくが警戒心を強めてもクリスの笑顔は変わらずに保ち続けられている。
始終、笑顔のクリスの表情は正直読みづらく、何を考えているのかわからない。
「わざわざぼくを呼び出したんだ。それなりの理由があるのだろう」
ぼくの言葉に先ほどとは違う笑みを浮かべる。
そして、クリスは口を開いた。
「単刀直入に申し上げます。まどろっこしい事は私嫌いなんです。
陛下とのご婚約…解消していただけませんか?」
またか
あいつが来てから、ぼく達が婚約してから、もうどのくらいこの話題を振られてきただろう。
数えたくも無い。
否、数え切れないほどの数なのだ。
祝福してくれる民や貴族達は大勢いる。
が、その反面、反対する者もやはり存在していた。
それでもぼくは持ち前の負けん気とプライドでそんな事を言ってくる女達を一掃してきた。
ユーリの、アイツの地位や容姿にしか興味の無い女達に負けるなど、ぼくは欠片も思っていなかった。
「…嫌だといったら?」
目を細めて笑うクリスの顔が視界にうつる。
嫌な、笑いだ。
「私がココに来たのは陛下といい関係を築くようにとの事でしたの。1つの情報を持って…ね」
「…情報だと」
「ええ」
クリスは一度言葉を止めると、哀れむようにぼくを見下ろし、言った。
「知っているんですのよ。貴方と陛下の婚約が偽りだということは…」
「…っ」
鼓動が速くなる。
持っていたカサが、手から落ちる音がとおく聴こえる。
動揺をあらわにしてはいけない
わかってはいるのにそれに反するかのごとく心臓は早鐘を打つ。
「陛下は女性がお好きだとおっしゃるのでしょう。
貴方との婚約も否定していると聞きました」
クリスは嘲笑うかのように動揺しているぼくを見る。
そして、言葉を繋ぐ。
「陛下は貴方を愛してないの」
決定的な言葉を投げかけられた。
彼女の言葉に再度認識させられる。
ユーリはぼくを欠片も愛してないのだ、と。
吐き気がした。
息の詰まるおもいだった。
心臓を抉られたかのようにクリスの言葉はぼくの心に深く、深く、突き刺さっていく。
「ごきげんよう。…ヴォルフラム閣下。またお会い致しましょう」
俯くぼくに、クリスは勝ち誇った笑みを浮かべ、優雅に一礼し、去っていった。
ぼくはただ、この灰色に染まった空の中、雨に打たれながらその場に立ち竦むことしかできなかった。
雨は 激しさを 増していく
ギーゼラに告げられて、ぼくが向かった先は中庭だった。
この雨の多い時期に咲くきれいな花達は、ユーリがチキュウから持ってきたもので
『アジサイ』
というらしい。
その花に囲まれながら一人の女が立っていた。
女は濡れないように真っ白なコートを身に纏っていた。
おそらくぼくを呼び出した張本人だろう。
雨にぬれるのを防ぐために、ユーリがチキュウから持ってきた『カサ』をつかい、
ぼくはその女のもとへ向かった。
「こんにちは」
にこり
と音が出るような笑みで女はぼくに声をかけてきた。
今までぼくを呼び出してきた女となんら変わりの無い、
どこにでもいる気の強そうな貴族らしき女だった。
ぼくが声を出せずにいると再び女は声をかけてくる。
「はじめまして。フォンビーレフェルト卿ヴォルフラム閣下。私の名前は クリスと申します。
…貴方の叔父上様、シュトッフェル様の勧めでこちらに参りましたの」
なんだと…!
変わらぬ笑みでそう告げた彼女の言葉に思わず声をあげそうになる自身を
何とか落ち着かせて言葉を返す。
「何の用だ」
一言返すのが精一杯だった。
「…いえ。ただシュトッフェル様は私に生き抜きも必要だと、
王都に遊びに出かけたらどうかとおっしゃってくださっただけですよ」
ぼくが警戒心を強めてもクリスの笑顔は変わらずに保ち続けられている。
始終、笑顔のクリスの表情は正直読みづらく、何を考えているのかわからない。
「わざわざぼくを呼び出したんだ。それなりの理由があるのだろう」
ぼくの言葉に先ほどとは違う笑みを浮かべる。
そして、クリスは口を開いた。
「単刀直入に申し上げます。まどろっこしい事は私嫌いなんです。
陛下とのご婚約…解消していただけませんか?」
またか
あいつが来てから、ぼく達が婚約してから、もうどのくらいこの話題を振られてきただろう。
数えたくも無い。
否、数え切れないほどの数なのだ。
祝福してくれる民や貴族達は大勢いる。
が、その反面、反対する者もやはり存在していた。
それでもぼくは持ち前の負けん気とプライドでそんな事を言ってくる女達を一掃してきた。
ユーリの、アイツの地位や容姿にしか興味の無い女達に負けるなど、ぼくは欠片も思っていなかった。
「…嫌だといったら?」
目を細めて笑うクリスの顔が視界にうつる。
嫌な、笑いだ。
「私がココに来たのは陛下といい関係を築くようにとの事でしたの。1つの情報を持って…ね」
「…情報だと」
「ええ」
クリスは一度言葉を止めると、哀れむようにぼくを見下ろし、言った。
「知っているんですのよ。貴方と陛下の婚約が偽りだということは…」
「…っ」
鼓動が速くなる。
持っていたカサが、手から落ちる音がとおく聴こえる。
動揺をあらわにしてはいけない
わかってはいるのにそれに反するかのごとく心臓は早鐘を打つ。
「陛下は女性がお好きだとおっしゃるのでしょう。
貴方との婚約も否定していると聞きました」
クリスは嘲笑うかのように動揺しているぼくを見る。
そして、言葉を繋ぐ。
「陛下は貴方を愛してないの」
決定的な言葉を投げかけられた。
彼女の言葉に再度認識させられる。
ユーリはぼくを欠片も愛してないのだ、と。
吐き気がした。
息の詰まるおもいだった。
心臓を抉られたかのようにクリスの言葉はぼくの心に深く、深く、突き刺さっていく。
「ごきげんよう。…ヴォルフラム閣下。またお会い致しましょう」
俯くぼくに、クリスは勝ち誇った笑みを浮かべ、優雅に一礼し、去っていった。
ぼくはただ、この灰色に染まった空の中、雨に打たれながらその場に立ち竦むことしかできなかった。
雨は 激しさを 増していく
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