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*この話にはオリキャラが出ています。苦手な方はご遠慮ください*
止まない雨。
見えない太陽。
暗闇の中で一人佇むことしか出来ないぼくに背を向け、去って行く二つの影がある。
待って・・・。
行かないでっ。
叫びたいのに喉が詰まって声が出ない。
追いかけたいのに、足が固まったように動かない。
そんなぼくに一つの影が振り返る。
そして、冷めた眼で、声で、こう告げた。
『お前が嫌いだ』
男同士なんて気持ち悪い、そう、顔を歪める彼は心底嫌そうにぼくを見る。
嫌でもぼくは彼の気持ちが本当だと認識させられ、自分の顔がひどく情けないものに変わっていくのがわかった。
そんなぼくの表情に満足したのか冷ややかに笑うと再び背を向け彼は去っていく。
彼より遅れて振り返った女が哀れむようにして嘲笑し、自らの腕を彼の腕に絡ませ、暗闇の向こうへと姿を消した。
待て、行くなっ、行かないでくれっ。
ぼくを置いて、行かない、で・・・っ。
傍に、傍に居させてくれるだけで十分だから。
愛してくれなんて、そんな、そんな事言わないから。
だから。
だからっ。
独りにしないで…っ
・・・・・・・・・・・・ユー、リ・・・ッ。
嘆き叫ぶぼくの声は彼に届く前に闇の中へと虚しく消え去り、彼と同じこの漆黒の世界でぼくはひとり、絶望を、感じていた。
止まない雨。
見えない太陽。
暗闇の中で一人佇むことしか出来ないぼくに背を向け、去って行く二つの影がある。
待って・・・。
行かないでっ。
叫びたいのに喉が詰まって声が出ない。
追いかけたいのに、足が固まったように動かない。
そんなぼくに一つの影が振り返る。
そして、冷めた眼で、声で、こう告げた。
『お前が嫌いだ』
男同士なんて気持ち悪い、そう、顔を歪める彼は心底嫌そうにぼくを見る。
嫌でもぼくは彼の気持ちが本当だと認識させられ、自分の顔がひどく情けないものに変わっていくのがわかった。
そんなぼくの表情に満足したのか冷ややかに笑うと再び背を向け彼は去っていく。
彼より遅れて振り返った女が哀れむようにして嘲笑し、自らの腕を彼の腕に絡ませ、暗闇の向こうへと姿を消した。
待て、行くなっ、行かないでくれっ。
ぼくを置いて、行かない、で・・・っ。
傍に、傍に居させてくれるだけで十分だから。
愛してくれなんて、そんな、そんな事言わないから。
だから。
だからっ。
独りにしないで…っ
・・・・・・・・・・・・ユー、リ・・・ッ。
嘆き叫ぶぼくの声は彼に届く前に闇の中へと虚しく消え去り、彼と同じこの漆黒の世界でぼくはひとり、絶望を、感じていた。
3
「・・・ん」
「ヴォルフ!よかった・・・っ!気がついて・・・」
意識が戻ると見慣れた光景が瞳の中にはいってきた。
目の前には漆黒が広がり、心地の良い声が耳に響く。
視線を少し下へ移すとぼくの左手をしっかり握り締めている、自分より少し大きい陽に焼けた両手が映る。
その手を辿り、持ち主に視線をやると少し照れたように笑いながら大丈夫か?気分は?と安心させるようにユーリは声を掛けてくる。
そんな彼の言葉に訳のわからないまま、それでも気分は悪くなかったため、頷くことで肯定の意を返した。
さらに見渡せば、此処は魔王の寝室ではないか。
何故、ここに、意識のはっきりしない頭でぼんやり考えていると心を読んだかのように上から声が降ってきた。
「覚えてないか?お前、中庭に倒れてたんだよ」
「なかに・・・っ」
ユーリの言葉に忘れかけていた記憶が戻ってくる。
そのせいか、今見た夢でさえ予知夢なのでは、と顔を蒼白させるぼくにユーリは慌てたように口を開いた。
「ちょ、ヴォルフ!大丈夫か?顔真っ青だぞ!誰か呼んでく・・・っ」
「ま、待って・・・」
離れていくユーリの両手が先ほどの夢の彼の後姿と重なって見え、ぼくは咄嗟に腕を伸ばした。
夢とは違い、手を伸ばせば触れられるということに安堵を覚え、息を吐く。
いきなり握られた右手を驚いたように数秒見つめた後、彼はやんわりと安心させるようにぼくの手を撫でると自然な動作で手を離す。
離れていく温もりになんともいえない焦燥感が生まれ、胸が締め付けられるようだった。
触れることさえも、ぼくは許されないのだろうか。
「ユーリ」
ぼくが口を開いたのと同時に勢いよく扉が開き、中に入る人影が視界の端に映る。
ここからではユーリで隠れていまいち誰だかわからなかった。
が、次の瞬間、今、一番聞きたくない声がぼくの耳へと流れ込んできた。
「ヴォルフラム様が目を覚まされたというのは本当ですか…っ」
「クリスさん!」
「…っ」
驚愕、嫌悪感、色々な感情が混ざりあい、顔を歪めるぼくには気づかず、彼女に笑顔で対応する彼の姿に、何かどす黒いモノが己の中で渦巻いた気がした。
しばらく二人を見つめているとその視線に気がついたクリスがぼくの方へと歩み寄る。
そんな彼女を見ていると中庭でのコトや、夢のコトが蘇り、ぼくは奥歯をかみ締めた。
彼女の足が近づくたびに震える身体に、己に、叱咤し、鋭い視線を彼女へと向ける。
「ヴォルフラム様…お加減は…っ」
「触る、な…っ」
ぱしっ
ぼくに触るな。
伸ばしてくる彼女の手を払い落とす音が静かなこの広い寝室に響き渡る。
彼女はまるでそうされることを知っていたかのように平然とした顔でぼくを見つめてきた。
そんな彼女以上に驚きを示したのは遠くからぼくとクリスの行動を見ていたユーリだった。
「ちょっ…ヴォルフ!お前何してるんだよっ」
慌ててぼくとクリスの間へと入り、彼は説明しろと目線で訴えかけてくる。
ぼくにはそれに対応できるほどの冷静さは残っておらず、シーツを握り締める己の手を見つめながら、思いのまま言葉を発する。
ダメだ、と理解しているのに、一度紡ぎだした言葉は止められない。
「出て行け…っ。此処はお前のような女が易々と入室していい場所じゃないっ!」
「ヴォルフラム様」
「だまれっ!これ以上言葉を発してみろ!ただじゃ済まさないっ。今すぐ此処からでてい・・・っ」
どんっ
ぼくの言葉が言い終わらない内に、再び鈍い音が部屋の中へと響く。
驚きながらも、音がした方へ視線を向けるとそこにはユーリの姿があった。
壁に拳を突き立て下を向き、震える様子から、あの音は彼が壁を殴った音だと理解する。
小刻みに震える様と空気を伝わって感じる温度に彼の怒りが大きいことを悟った。
「ヴォルフラム」
彼の形のいい唇から発せられる彼らしくないその音に、背筋が寒くなるのを感じた。
震えがいっそう増し、ぼくは口を開くことも出来ず、彼を見つめることしか出来ない。
「…ヴォルフラム。クリスさんは倒れたお前を発見して報せてくれたんだぞ。その後も、ギーゼラと一緒に看病したりしてくれて…それなのにお前は…っ」
彼はそこまで言うと、続くはずだった言葉を飲み込み、ぼくから視線を外して、一言だけこう言った。
「最低だな」
冷めた声で、冷ややかな瞳で。
頭の奥で何かが壊れた音がした。
目の前が真っ暗になる。
思考が停止し、何も考えることが出来ない。
逸らされた瞳に拒絶されたような気がした。
嫌われた。
そんな恐怖感がぼくを襲う。
それを煽るかのごとく、どこからか入ってきた風が、ふっと蝋燭の灯りを消していく。
不安に駆られ、固まるぼくに見向きもせず、行こう、とクリスの細い手首を掴んで彼は部屋を出ていこうと扉に向かって歩いていった。
「ユー、リ…っ」
喉が渇いて出ない声を振り絞って呼ぶが、彼は何一つ反応せず、伸ばした手もあと一歩というところで届かなかった。
行き場のない白い手が真っ暗な寝室の中に虚しく浮き上がっていた。
「ははっ…」
渇いた笑いが響き渡る。
ごろりと、重い身体を動かし、再びベッドに転がると溢れ出しそうになる涙を必死で堪えながら瞳を覆うように拳を乗せる。
「…まるで夢と同じじゃないか」
自嘲気味にそう呟くと、現実なんだ、と彼に嫌われてしまったという事実を再度認識させられる。
どれだけそうしていたのだろうか。
急にかちゃっと扉を開く音がした。
誰かが入ってくるのを視界の端で捕らえたが、どうにも身体を動かすことが出来ず、じっとその影が動くのを待った。
すると、その陰の持ち主が近づき、声を掛けてきた。
「…ヴォルフ」
心配げに掛けられた声に、握られた左手に、色んな感情が混ざり合って喉の奥が詰まり、返事を返すことが出来ない。
大丈夫だ、心配ない、といつもの強気なぼくでありたいとそう思うのに。
「ヴォルフ」
「…グレ、タ」
再度呼ばれた声に、震えながらも声を返すと握られた左手にいっそう強く力が込められた。
ぼくの手を握るその小さな両手の温かさになんだか無性に泣きたくなった。
ぼくの心を代弁するかのようなこの雨は、いつになったら止むのだろう。
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