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Yuri*Wolfram
蒸し暑い夜に目を覚ます。
と、いうより寝付くことが出来なくて、この広いベッドの上をユーリは何度ごろごろと転がり続けたことか。
眠らなければ成長に良くないぞ、渋谷有利、と自分に言い聞かせて、瞼を閉じても一向に眠気は襲ってこない。
これは、あれだ。
「…足りない」
足りないんだ。
ヴォルフが、足りない。
Honey Lack
「あぁぁぁあ!もう駄目…やる気しねぇ…!」
まだ執務が始まって1時間も経っていないというのにユーリはだらだらとみっともなく机の上に顎をのせ、手をぶらぶらと垂れ下げていた。
その表情には心底つまんねぇ、というユーリの気持ちがありありと映し出されている。
近くにいたコンラートとグェンダルはそれぞれ、こんな姿は民には見せられないなと苦笑したり、せめてもう少し感情を隠せ、と眉間のシワを深めながら言葉を口にする。
「…まだ休息するには早過ぎるぞ。せめてそこの書類を片付けてからにしろ」
「頑張って下さい、陛下」
えーまだやんなきゃいけないのかよ…!
陛下と呼ばれたことをいつものように指摘せず、不満気に呟かれた言葉に、二人はもう今日の書類はこれ以上片付かないだろう、と思い、仕方なく、本当に仕方なく魔王陛下の愚痴、と言うより不満を聞いてやろうと彼に話しかけた。
少しでも仕事を進めさせるために。
「一体どうなさったんですか?」
今日はいつも以上に怠けてますね。
がばっ
明らかにいつももそれなりに怠けてます、と中々失礼なことを匂わせた台詞に気づかず、待ってましたと言わんばかりに勢いをつけて顔を上げたユーリに二人の体は自然と一歩後ろに退いていた。
「聞いてくれるか!コンラッド!」
「はっ…はい」
身を乗り出すユーリのあまりにすごい勢いにのまれたのか、少々吃り気味で返事を返す。
「一言で言うと…ヴォルフが足りない!」
なんでいないんだよぉっ!
バンバンと机を両手で叩きながらそう叫ぶ。
流石に強く叩きすぎて痛かったのか、ユーリは顔を歪めながら手を擦っていた。
心の中でちょっとざまあみろ、と思いながらグウェンダルは律儀に答える。
「昨日も言っただろう。ヴォルフラムは今ビーレフェルトに帰還ちゅ」
「知ってるっつーの!思い出させんなよな…!」
会いたくなるだろ気ぃ利かせろよグウェン!
お前が聞いたんだろう!
半ば八つ当たり気味のユーリの台詞にわなわなと怒りで震えながらグウェンダルは心の中で言い返す。
普段の彼なら普通に言い返しているだろうが今のユーリは目が据わっていて、目に見えて解るぐらい機嫌が悪く、少しでもその怒りに触れるようなことがあれば何を仕出かすか解らない。
ここは穏便に事を済ませたほうが良いだろうと判断し、あえて口を出さなかったのだ。
単にユーリの迫力に負けただけかもしれないが。
「グウェン、落ち着いて。ユーリ…ヴォルフ不足とは?」
「言葉まんまの意味」
コンラートは無言で先を促す。
「…ヴォルフに会いたい、顔が見たい、声が聞きたい、抱きしめたい、キスしたい、…その他諸々」
「確かに…言葉まんまの意味ですね。ヴォルフが恋しいってことですか」
「あったりまえだろ!」
「ちょ…ちょっと待て!貴様っ!ヴォルフラムに手を出していたのか?!いつの間に…っ。婚前前にそのようなこと…断じて私は許さんぞっ」
ユーリの言葉に反応したグウェンダルは怒りを露にしていった。
その瞳の端に少量の涙がたまっているのを見つける。
情けないぞ、お兄ちゃん。
「許さんぞとか言われても俺ら婚約してるし恋人同士だし別に良いじゃん。っていうかなんでグウェンに許可貰わなきゃいけない訳?」
「…うっ」
これは当人達の問題だろ?親にも公認だし別に良いじゃん。
とユーリはグウェンダルにはさも関係ないことのように言ってのけ、さらに追い討ちをかけて言う。
っつーか今時そんな頭固いこと言う奴いるかぁ?
その言葉にグウェンダルは無言でいるしか出来ない。
「まぁまぁ、陛下。それだけグウェンがヴォルフのこと可愛がってる証拠だから」
「んなこといってもさぁ」
まだ不満があるのかぼそぼそと呟くユーリにコンラートは苦笑する。
「わかるよ、わかる。確かにヴォルフは可愛いよ。猫っ可愛がる気持ちも十分にわかる。普段の格好もそりゃもうヴォルフにぴったりだけどネグリジェなんかもうあいつのために作られたんじゃないかと思うほど似合ってるし。可愛いし綺麗だし。風呂上りの上気した頬で瞳潤んだまま『ユーリ』なんて上目遣いで呼ばれた日にはもう押さえなんてきかないねっ!」
あーもう何!ヴォルフ可愛い最高流石俺の婚約者!大好き!
お前が何だ、惚気か惚気なのか。
握りこぶしを作りながらそう力説するユーリに心の中では突っ込みを入れながらも表面上では笑顔を保つコンラート。
しかし、その笑顔がいつもより引き攣って見えるのは気のせいか。
グウェンダルに限ってはもはやユーリの言葉に魂が抜けたようだった。
が、この場にいるものはもうすでにグウェンダルのことなんか気にしていない。眼中になかった。
「確かにヴォルフは可愛らしいと思いますよ。昔はちっちゃい兄上なんて呼んでついてまわっ…ユーリ?」
「…やらねぇぞ」
遠い目をしながら過去に思いを馳せていたコンラートの台詞にユーリはそう返す。
あからさまなユーリの嫉妬に一瞬理解できず、コンラートは珍しくきょとんとすると次の瞬間激しくふきだした。
「あはは…っ、陛下、変わりましたね。前はあんなに…」
「うっ…うっせぇな!名付け親!陛下って呼ぶな!しょうがねぇだろヴォルフが可愛いんだからっ」
流石にあからさま過ぎた自分の嫉妬心に恥ずかしさを感じたのか、頬を染めながら怒鳴りつける。
そんなユーリにちょっとヴォルフに似てきたかな、と思うコンラート。
微笑ましくてさらに笑いが込み上げてくる。
「笑うなよ…!」
「すみません、ユーリ。ヴォルフに会いたいなら早く机の上の書類を片付けましょう」
「はぁ?なんで」
首を傾げながら聞くユーリにコンラートは笑みを深めながら白々しく言う。
「あれ?言ってませんでしたっけ。ヴォルフ、今日帰ってくるんですよ」
「はぁ?!聞いてねぇよ!」
何でそんな大事なこと!
がたっと椅子を倒しながら立ち上がり、そう叫ぶユーリにコンラートは再び言った。
「だから早く終わらせましょうね、書類」
その言葉には終わるまでヴォルフラムには合わせないぞという意味が隠されていることにユーリは気づく。
ちくしょう!やっぱコンラートもしっかりヴォルフとの事怒ってんじゃねぇか!
心の中で叫びながら机の上に視線を向けると大量の書類が目に入る。
やばい、涙が。
このやろうっ!とコンラートを睨みつけても相手は涼しい顔をして胡散臭い笑みを浮かべるだけだ。
もう一度心の中でちくしょうと叫ぶとユーリは涙ながらに書類の山に取り掛かった。
愛しい人を抱きしめるために。
ヴォルフラムの帰還まであと4時間。
と、いうより寝付くことが出来なくて、この広いベッドの上をユーリは何度ごろごろと転がり続けたことか。
眠らなければ成長に良くないぞ、渋谷有利、と自分に言い聞かせて、瞼を閉じても一向に眠気は襲ってこない。
これは、あれだ。
「…足りない」
足りないんだ。
ヴォルフが、足りない。
Honey Lack
「あぁぁぁあ!もう駄目…やる気しねぇ…!」
まだ執務が始まって1時間も経っていないというのにユーリはだらだらとみっともなく机の上に顎をのせ、手をぶらぶらと垂れ下げていた。
その表情には心底つまんねぇ、というユーリの気持ちがありありと映し出されている。
近くにいたコンラートとグェンダルはそれぞれ、こんな姿は民には見せられないなと苦笑したり、せめてもう少し感情を隠せ、と眉間のシワを深めながら言葉を口にする。
「…まだ休息するには早過ぎるぞ。せめてそこの書類を片付けてからにしろ」
「頑張って下さい、陛下」
えーまだやんなきゃいけないのかよ…!
陛下と呼ばれたことをいつものように指摘せず、不満気に呟かれた言葉に、二人はもう今日の書類はこれ以上片付かないだろう、と思い、仕方なく、本当に仕方なく魔王陛下の愚痴、と言うより不満を聞いてやろうと彼に話しかけた。
少しでも仕事を進めさせるために。
「一体どうなさったんですか?」
今日はいつも以上に怠けてますね。
がばっ
明らかにいつももそれなりに怠けてます、と中々失礼なことを匂わせた台詞に気づかず、待ってましたと言わんばかりに勢いをつけて顔を上げたユーリに二人の体は自然と一歩後ろに退いていた。
「聞いてくれるか!コンラッド!」
「はっ…はい」
身を乗り出すユーリのあまりにすごい勢いにのまれたのか、少々吃り気味で返事を返す。
「一言で言うと…ヴォルフが足りない!」
なんでいないんだよぉっ!
バンバンと机を両手で叩きながらそう叫ぶ。
流石に強く叩きすぎて痛かったのか、ユーリは顔を歪めながら手を擦っていた。
心の中でちょっとざまあみろ、と思いながらグウェンダルは律儀に答える。
「昨日も言っただろう。ヴォルフラムは今ビーレフェルトに帰還ちゅ」
「知ってるっつーの!思い出させんなよな…!」
会いたくなるだろ気ぃ利かせろよグウェン!
お前が聞いたんだろう!
半ば八つ当たり気味のユーリの台詞にわなわなと怒りで震えながらグウェンダルは心の中で言い返す。
普段の彼なら普通に言い返しているだろうが今のユーリは目が据わっていて、目に見えて解るぐらい機嫌が悪く、少しでもその怒りに触れるようなことがあれば何を仕出かすか解らない。
ここは穏便に事を済ませたほうが良いだろうと判断し、あえて口を出さなかったのだ。
単にユーリの迫力に負けただけかもしれないが。
「グウェン、落ち着いて。ユーリ…ヴォルフ不足とは?」
「言葉まんまの意味」
コンラートは無言で先を促す。
「…ヴォルフに会いたい、顔が見たい、声が聞きたい、抱きしめたい、キスしたい、…その他諸々」
「確かに…言葉まんまの意味ですね。ヴォルフが恋しいってことですか」
「あったりまえだろ!」
「ちょ…ちょっと待て!貴様っ!ヴォルフラムに手を出していたのか?!いつの間に…っ。婚前前にそのようなこと…断じて私は許さんぞっ」
ユーリの言葉に反応したグウェンダルは怒りを露にしていった。
その瞳の端に少量の涙がたまっているのを見つける。
情けないぞ、お兄ちゃん。
「許さんぞとか言われても俺ら婚約してるし恋人同士だし別に良いじゃん。っていうかなんでグウェンに許可貰わなきゃいけない訳?」
「…うっ」
これは当人達の問題だろ?親にも公認だし別に良いじゃん。
とユーリはグウェンダルにはさも関係ないことのように言ってのけ、さらに追い討ちをかけて言う。
っつーか今時そんな頭固いこと言う奴いるかぁ?
その言葉にグウェンダルは無言でいるしか出来ない。
「まぁまぁ、陛下。それだけグウェンがヴォルフのこと可愛がってる証拠だから」
「んなこといってもさぁ」
まだ不満があるのかぼそぼそと呟くユーリにコンラートは苦笑する。
「わかるよ、わかる。確かにヴォルフは可愛いよ。猫っ可愛がる気持ちも十分にわかる。普段の格好もそりゃもうヴォルフにぴったりだけどネグリジェなんかもうあいつのために作られたんじゃないかと思うほど似合ってるし。可愛いし綺麗だし。風呂上りの上気した頬で瞳潤んだまま『ユーリ』なんて上目遣いで呼ばれた日にはもう押さえなんてきかないねっ!」
あーもう何!ヴォルフ可愛い最高流石俺の婚約者!大好き!
お前が何だ、惚気か惚気なのか。
握りこぶしを作りながらそう力説するユーリに心の中では突っ込みを入れながらも表面上では笑顔を保つコンラート。
しかし、その笑顔がいつもより引き攣って見えるのは気のせいか。
グウェンダルに限ってはもはやユーリの言葉に魂が抜けたようだった。
が、この場にいるものはもうすでにグウェンダルのことなんか気にしていない。眼中になかった。
「確かにヴォルフは可愛らしいと思いますよ。昔はちっちゃい兄上なんて呼んでついてまわっ…ユーリ?」
「…やらねぇぞ」
遠い目をしながら過去に思いを馳せていたコンラートの台詞にユーリはそう返す。
あからさまなユーリの嫉妬に一瞬理解できず、コンラートは珍しくきょとんとすると次の瞬間激しくふきだした。
「あはは…っ、陛下、変わりましたね。前はあんなに…」
「うっ…うっせぇな!名付け親!陛下って呼ぶな!しょうがねぇだろヴォルフが可愛いんだからっ」
流石にあからさま過ぎた自分の嫉妬心に恥ずかしさを感じたのか、頬を染めながら怒鳴りつける。
そんなユーリにちょっとヴォルフに似てきたかな、と思うコンラート。
微笑ましくてさらに笑いが込み上げてくる。
「笑うなよ…!」
「すみません、ユーリ。ヴォルフに会いたいなら早く机の上の書類を片付けましょう」
「はぁ?なんで」
首を傾げながら聞くユーリにコンラートは笑みを深めながら白々しく言う。
「あれ?言ってませんでしたっけ。ヴォルフ、今日帰ってくるんですよ」
「はぁ?!聞いてねぇよ!」
何でそんな大事なこと!
がたっと椅子を倒しながら立ち上がり、そう叫ぶユーリにコンラートは再び言った。
「だから早く終わらせましょうね、書類」
その言葉には終わるまでヴォルフラムには合わせないぞという意味が隠されていることにユーリは気づく。
ちくしょう!やっぱコンラートもしっかりヴォルフとの事怒ってんじゃねぇか!
心の中で叫びながら机の上に視線を向けると大量の書類が目に入る。
やばい、涙が。
このやろうっ!とコンラートを睨みつけても相手は涼しい顔をして胡散臭い笑みを浮かべるだけだ。
もう一度心の中でちくしょうと叫ぶとユーリは涙ながらに書類の山に取り掛かった。
愛しい人を抱きしめるために。
ヴォルフラムの帰還まであと4時間。
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