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スザ←ルル 17話派生





先ほど知ったばかりの事実に俺はクラブハウスの前に呆然と立ち尽くしていた。
激しく降る雨が身体を打つが、それすら気にならないほどに衝撃的なことだったのだ。
頭の中に蘇るのは、忌々しい白兜に乗る大切な、幼馴染の姿だった。


「スザ、ク…っ」


彼の名を小さく口にすれば、それは鉛のような重さをもって、ずしりと、心に落ちてきた。
それに耐えるように己の身体を抱きしめる。
刹那、今一番求めて止まない、けれど一番会いたくない彼の声が鼓膜を打った。


「ルルーシュ…!」





おまえのいない世界だなんて。俺は、








響いた声に少し遅れて雨が止む。
否、スザクが己にさしていた傘をこちらに傾けてくれたのだ。
どうしたの、と彼は心配そうな表情で俺の顔を覗き込む。
けれどスザクを見て思い出されるのは優しく微笑む彼ではなく、真っ白な機体に乗る己に対しての憎悪を隠しもしない彼の姿だった。


「ど…うして」


なんで。どうして、お前が。

聞いたって無駄なことなどわかっていた。
解っていたんだ。
俺とお前の思想が反していることなど。
決して交わりはしないことを。
それでも、何故、と問わずにいられなかった。
足りなかった俺の言葉に、意味を捉え間違えた彼は、生徒会に忘れ物をしたんだと求めていたものとは違う答えを返して来た。
反応を示さない俺に、彼は困ったように眉を下げる。
翡翠の瞳には心配の色が浮かんでいた。
風邪、引くよ、と纏わりつく俺の髪をはらう彼の声も仕草も体温も、すべてが温かくて、不覚にも涙を流してしまいそうだった。
それを隠すように彼の肩口に額を押し付け、見た目よりずっと立派なその身体に縋りつくかのように彼の背に腕を回す。
俺の行為に戸惑いながらも抱き返し、あやすように背を撫でながらどうしたの、と再び耳元で優しく囁く彼に、今度こそ涙を耐えることは出来なかった。

此処で彼を殺すことが出来たなら。
ギアスを使い、記憶を失くすことができたなら。

忌々しい白兜のパイロットが彼だとわかった、今。
それでも、尚。
俺は、



彼を失うことなんて耐えられやしなかった。
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