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幼少スザ+ルル+ナナ
これからも君の笑顔が見たいから
いつものように侍女が目をはなした隙に抜け出して、俺はルルーシュとナナリーのいる土倉へと向かっていた。
出会いこそ最悪なものだったけれど今では心を開きはじめてくれている。
…ナナリーは。
彼女の兄であるルルーシュは、未だ、警戒心は解けず、ほとんど口をききやしない。
話しかけても素っ気無く、無視されたことに対しての怒りに任せて殴ってしまうという自分の行いも原因だろう。
その後に、激しい自己嫌悪に襲われるけれど己の強情な性格から、謝ることはできず、つい憎まれ口を叩いてしまい、再び自己嫌悪に陥るのだ。
あんなにも腹が立つ相手なのに彼を何故か放っておけない俺は、何度無視されようとめげずに土倉へ通い続けている。
今日も彼はあの秀麗な眉を寄せ、身体全体で歓迎していないと表現しながらも、妹が俺を受け入れているため、渋々出迎えてくれるのだろう。
土倉の前で荒い呼吸を整えながら子供の力では少し重たく感じる扉を開けば、目の前に広がるのはひどい怪我を負って倒れているルルーシュの姿だった。
傍についているナナリーの瞳からは今にも涙が零れ落ちそうだった。
「お前っ、それ、どうしたんだよ…!」
「…スザク、さんっ」
震える声を懸命に抑えながらナナリーは俺の声にこたえる。
視界に入るルルーシュからはあまり出血は見られないようだが、青痣がとても目立っていた。
それらは明らかに複数の人間からの暴力によるものだと判断できるほど酷くて。
「…っ、どうしたんだ!その怪我は!」
再び大声を上げる俺に、びくっと身体を揺らしたナナリーを宥めるようにルルーシュはその体勢のまま彼女の背を優しく撫でる。
まるで俺をないものかのように扱う彼に小さな苛立ちを感じた。
視線の先にいるナナリーの震える掌には小さく可愛らしい花が握られていた。
「お前、外に…出たのか。…一人で」
「…」
無言は肯定を示していた。
一度もこちらを見ようともしないルルーシュと、彼にこんな怪我を負わせた奴らに対しての苛立ちは募っていくばかりで。
「なんで、どうして一人で外に出たんだ…!」
彼は、俺の言葉に身体を起こすと痛みに顔を歪めながら、きっと睨みつける。
「君には…関係の無いことだ」
「なっ、なんだと…!」
その言葉にカッとなり、ルルーシュの胸倉を掴みあげる。
小さな悲鳴が土倉に響いた。
「関係ないとか言うなよ!」
「関係ないじゃないか。僕が傷つこうが、どうなろうが、君に迷惑はかけない」
怒鳴り散らす俺に反して彼はひどく冷静で。
関係ないという言葉に怒りを感じる以上に、何故かひどく悲しかった。
逸らされる視線を無理矢理合わせると、アメジスト色の瞳が怒りできらきらと輝いていた。
その瞳を覆う白い瞼の上にある青痣や、怒りで朱く染まる頬から流れる真っ赤な血の色は、彼の白い肌にとても映えていて、痛々しくて。
それでもなお、気丈に自分を睨みつけてくる彼の姿に胸が締め付けられる。
「関係なくなんか、ないっ!」
「関係ないだろ…!」
「うるさいっ!…俺が、俺が嫌なんだよ!」
「え…」
「お前が、誰かに傷つけられるとか、傷つくとか、俺が嫌なんだ!」
もっと自分を大切にしろよ!
自分でもどうしてこんな言葉が出てくるのかわからなかった。
ただ、自分の知らぬところで彼が傷つくことが、傷つけられることが嫌だったのだ。
それはお気に入りのおもちゃを取られた幼い子供の癇癪のようなものかもしれないけれど。
こうしてすぐに暴力を振るってしまう俺が言うのは矛盾しているのかもしれないけれど。
これ以上、彼に、彼らに傷ついて欲しくなかったのだ。
「だから、だから俺がお前をずっと守っていってやる!」
だからもう、一人で勝手に外に出たりなんかするな!
彼の瞳が大きく見開かれる。
零れ落ちそうなほど大きく見開いたアメジスト色の瞳をとても綺麗だと思った。
刹那、今まで剣呑な雰囲気を出していた彼が突然笑い出したのだ。
いきなりのそれに唖然としている俺に向かって彼は言う。
「なんだ、それは。プロポーズか」
「なっ…!」
馬鹿にされた。
ふざけるな、と声を上げようとした、その時、彼の菫色が俺のそれと再び交わった。
「…ありがとう、…スザク」
初めて彼に己の名前が呼ばれたことも、初めて自分だけに向けられた彼の少し不器用な笑顔も、とても、とても嬉しくて。
この笑顔を失わないように、ずっと守っていこうとこのとき俺は心に誓った。
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