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スザク*♀ルル パラレル
*前編を先にご覧下さい*
*前編を先にご覧下さい*
どうしたものか。
どうやら彼女は記憶喪失というやつらしい。
幽霊の上に記憶喪失だなんて。
なんて面倒くさい。
「なんだ、その顔は。ちょっと待て、枢木スザク。お前はか弱い女の子を一人ここに置いていく気か!」
「え、い、いや、別にそんな事は、」
「吃ってる、吃ってるから。目も泳いでるし」
図星を指されてしまった。
だって、いくら好みだからと言っても彼女は幽霊。
死んだ人間で。
僕とは全く違うものなのだ。
関わっても碌なことなんかないってことはわかってる。
わかってる、けど。
「で、どうするの?」
「え」
「君が幽霊になってるてことはこの世界に何らかの未練が残ってるんじゃない?」
「…そう、かもな」
「探すんでしょ?」
「枢木スザク…」
「スザクでいいよ。フルネームで呼ばれるのって、ちょっとね」
苦笑すれば彼女は照れたように視線を逸らし、小さくありがとうと呟いた。
それから数時間。
どれだけ歩いて色んなところを見て回っても、彼女が此処にとどまる理由は見つからない。
不安げな表情を見せる彼女に胸が痛くなるけれど。
こればかりは僕の力ではどうにもならないことだった。
公園に再び戻ってくる頃にはもう陽は落ちて当りは真っ暗になっていて。
小さな星がキラキラと夜空を照らしていた。
「見つからないね…どうしようか、今度はあっちの方に…」
そこまで言いかけると彼女は首を横に振った。
それに応じて流れる黒い髪が、血の気のない白い肌をいっそう引き立てていて。
彼女が生きてはいないという事実を嫌でも認識させられる。
「スザク、もういいよ」
「でも…」
「もう、いいんだ」
俯きながら出す彼女の声は震えていて。
今にも泣き出すんじゃないかと僕は思った。
彼女の紫電からは涙がこぼれることは決してなかったけれど。
「嬉しかったよ。こんな私のために一生懸命になってくれて、嬉しかった…」
「…っ」
「最期に、スザクと逢えて、一緒に居られて、本当に良かった…っ」
「ちょっと…待ってよっ、何それ。そんなのまるで、」
言いかけた僕の視界に入ってきたのは薄っすらと形の無くなっていく彼女の姿で。
言いようのない不安で胸が苦しくなる。
必死で繋ぎとめようと手を伸ばしても空気を切るだけで、彼女に触れることは出来なかった。
「ありがとう」
呟いた直後、彼女は満天の星空に吸い込まれていくように消えていった。
「待って、待ってよ…っ、まだ僕は君の名前を呼んでいないっ!」
どんなに手を伸ばしても、叫んでも、彼女に届くことは決してなかった。
満天の星空の下で立ち尽くしている僕の脳裏には彼女の最後の笑顔と言葉が焼きついて離れなかった。
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