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スザルル+リヴァル







友達の定義とは








「なんか、良い匂いがする」


軍務で遅れたスザクが珍しく男子メンバーだけの生徒会室に入り、彼の幼馴染の隣に座るなりそう言った。
くんくんと匂いを嗅ぐその様はどこか犬を想像させる。


「やっぱり!ルルーシュからだよ、甘い匂いがする!」


嗅ぎ当てたのか幼馴染の濡れたような黒髪に鼻先を埋める。
あまりに接近したスザクに驚くリヴァルをよそに、当の本人たちは平然とした様子でいる。


「なんだろうね、この匂い。甘いものでも食べた?あ、シャンプーかなぁ」
「おい、スザク。くすぐったいから」
「えー、だって、良い匂いがするんだもん」
「こら」


くすくすと笑いながらスザクを注意するルルーシュのその様は普段の彼からは想像のできないもので。
柔らかい雰囲気が彼らを包み、二人だけの世界が出来つつある。
おーい、とリヴァルが小さく声をかけるも彼らは気付く気配もない。


「スザク、もういいだろ。どうしたんだ?急に」
「…だって、ルルーシュってば最近構ってくれないんだもん」


つまんない、と口を尖らせる様子は彼の顔立ちをいっそう幼くさせる。
ずい、と最近休みがちの幼馴染を責めるようにスザクは身を乗り出した。

ちょっと、君達顔近すぎだから。

リヴァルの心の叫びも虚しく、拗ねた様子を見せるスザクにルルーシュはごめんごめんと困ったように笑って自分の肩口に顎を乗せてきた彼の栗色の髪を撫で付ける。
構ってもらえたことが嬉しかったのか仔犬のようにスザクは鼻先を擦り付けた。
もし彼に尻尾があったならおそらく物凄い勢いで振られていることだろう。
向かい合った格好で肩口に顎を乗せれば、それはそれは密着した状態になるわけで。
正直、17の野郎二人で行う行為ではない。
ひぃ、と小さく悲鳴を上げるとリヴァルはばん、と机を叩きながら立ち上がる。


「ちょ、まって!お前ら!俺がいること忘れてない!?」


この空気に耐え切れなくり、声を上げるリヴァルに、二人はきょとん、とした顔を向ける。


「いや、べつに忘れてないよ?」
「ああ」
「だったらそういうことやらないでくれる?!他でやれよ!他で!」


心臓に悪いんだよ!と叫ぶ彼に二人は心底不思議そうに首を傾げた。


「何を言ってるんだ、お前は」
「僕達、何かやったか、な?」
「何って!あれはお前らにとっては日常茶飯事ってこと?そういうこと?やっぱお前ら出来てるの?!怪しい怪しいと思ってたらやっぱ…いってー!!」


がこっと鈍い音がした。
ルルーシュがリヴァルの頭を傍にあった教科書の角で叩いた音だ。
何すんだよ、ルルーシュ!と、涙目になりながら言うリヴァルにルルーシュははぁ、と小さく溜息を吐いた。


「馬鹿か、お前は」
「おかしなこと言うね、リヴァル。僕達は友達だよ、ねぇ、ルルーシュ」
「あぁ。それに男同士だぞ」


なぁ、スザク、と互いの顔を見ながら頷きあう。
やはりその距離も物凄く、近くて。
そーですね、と明後日の方向を見ながら、リヴァルは自分の中の友達の定義について考え直すのであった。
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