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スザ→ルル R2 13話派生








テロだと思われたあの騒ぎの後、彼は最後に別れたあの場所に、立っていた。





揺れる心は誰のために。









陽も落ち、闇が広がる中、彼は一人佇んでいた。
小さな光に照らされたその姿はとても儚く、今にも崩れ落ちるんじゃないかと思うほど、脆く、見えて。

彼は、こんなに生気のない人間だったろうか。
彼はもっと、自信に満ち溢れた、そんな人間ではなかったか。

言いようのない不安に駆られて反射的にその頼りない背に声をかける。


「ルルーシュ…っ」


振り返った彼のその瞳には嘗ての光はなくて。
向けられたあまりにも痛々しい彼の笑顔に、どうしてだろう、胸が締め付けられた。
沈黙が続く。
声をかけることが出来なかった。
どう、かけていいのか、分からなかった。


「…どうした?スザク、そんな顔して」
「…」
「なんだ?またアーサーにでも噛み付かれたか?諦めの悪いお前がいけないんだぞ」
「…ルルーシュ」
「それとも、また大量の宿題か?しょうがない奴だな。手伝ってやってもいいが後でそれなりの…」
「ルルーシュ…!」


衝動的に彼を腕の中に抱え込む。
見ていられなかった。
耐えられなかった。
哀しみを一人で抱え込んで、笑顔で覆い隠して。
泣けない彼を見ることが。

ただ、耐えることが出来なかった。


「スザク、離してくれ」
「…」
「スザク…」
「…」
「スザク!」


声を荒げる彼に返事の代わりに強く、抱きしめる腕に力をこめる。
息を呑む音が耳元で聞こえる。
やがてそれは小さな嗚咽へと変わっていった。


「守れな、かった…っ、また、俺は…!大事なものを失わなければならないのか…っ」
「もういい…っ!もう、いいから…」


涙に濡れるその頬を乱暴に拭ってから、俺はもう一度強く彼を抱きしめた。
己の背に伸ばされた彼の腕は、密か震えていて。
それは怒りだったのか、それとも、哀しみだったのか。
そんなの、どちらでもよかった。
ただ。
ただ彼の心が少しでも晴れればいいと、彼が笑顔になればいいと。
俺はそんな事を思ってしまったんだ。



例え記憶を失っていようと彼はゼロだった。
たくさんの人を犠牲にして。
俺から、大切な人を奪っていって。
憎むべき、殺すべき相手のはず、なのに。
彼女が言った最後の言葉が繰り返される。

(許せないことなんてないよ。それはきっと、スザク君が許さないだけ。許したくないの)

迷う心は、ユフィを、犠牲になった人々を、裏切ることだ。
許されることではない。
それなのに。


涙する彼を抱きしめる腕を、離すことはできなかった。
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