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幼馴染+生徒会 一話前の設定








「はい、これルルちゃんの分ね」


そう言って渡されたのは小さな小瓶に入った金平糖。
日本の菓子であるこれが何故此処にあるか疑問に思う。


「どうしたんですか、これ」
「ん~こんぺいとう…だっけ?日本のお菓子なんだって」


ルルちゃん知らない?

と、的外れな答えが返ってくる。
はぁ、と小さくため息を漏らせば不満気な会長の声が耳に入った。
それに気づかないフリをして手にした小瓶を掲げると、色とりどりのそれは太陽の光で輝いていた。







金平糖、きらきら










「ルルーシュ!ナナリー!」


慌ただしい音が聞こえると、すぐに薄暗い土倉の中に反した明るい声が響き渡る。
荒々しく開けられた扉へと視線を向けると瞳に入るのは日本人離れした薄茶と翡翠の色だった。


「スザク」


名前を呼ぶと、彼は笑みを浮かべて土倉へと足を進める。
何か持っているようだが此処からでは光に反射してそれがなんだかわからない。
彼は目の前まで来ると後ろ手に隠していたものを僕とナナリーの前へと出した。


「ほら、これ」
「なに?」
「金平糖だ」
「こん、ぺいとう…ですか?」
「あぁ、知らないのか?」


こんぺいとう、と言われても、見るのが初めてなのももちろん聞くのも初めてだ。
おそらく、日本のものなのだろう。


「おやつにって、俺にくれたんだ」


だから、ルルーシュとナナリーにもやる。

ぶっきらぼうにそう言ったスザクは僕の手を引っ張るとその上にこんぺいとうを小瓶から出した。


「どんなものなんですか?」


ナナリーが初めて口にする物からへの興味から、かすかに頬を赤く染めて聞く。
その姿に微笑みかけながら僕とスザクはこんぺいとうの説明をしていった。


「見た目は、とげとげしている、いろんな色でいっぱいだ。白とか黄色とか桃色とか」
「僕とナナリーの瞳の色やスザクの瞳の色もあるよ。綺麗な色ばかりだ」
「まぁ」
「それに、食べると甘い。ほら、ナナリーも食べてみろ」


スザクがナナリーの手に、食べやすいよう2、3粒乗せてやる。
彼女はそれを手のひらで形を確かめるように転がすと、一粒その小さな唇へと運んだ。
それに続くように僕と彼もこんぺいとうを口へと運ぶ。


「おいしいだろ」
「うん」
「はい」


返事をするとスザクは満足げな様子で俯いた。
ナナリーはもう一粒口に運ぶと柔らかい笑みを浮かべて言う。


「甘くて、とても優しい味ですね」


それに同意するように僕と彼は彼女に微笑みかけた。




*  *  *




(…金平糖)

昔、幼馴染の彼の家で食べた時のことを思い出す。
見つめていたその小瓶のふたを開け、数粒手のひらへと転がした。
懐かしいそれに頬が緩むのがわかる。
思い出すのは彼の屈託のない笑みと、楽しかったあの夏の日々。
もう会えない悲しさを打ち消すようにそれを口に含めばちょうど良い甘さが広がった。

昔と変わらず、甘くて優しい味だった。
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