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枢木誕生日SS
・スザクとルルーシュは幼馴染ではありません
・ルルーシュが女の子
・枢木がなんか別人
・二人はクラス別々で面識どころか喋ったこともありません
・現代パラレルです
以上を踏まえてお読み下さい。
いつからだろう。
大会があるたびに、下駄箱に入っている、小さな手作りのお守りと微かにラベンダーの香りがする几帳面な筆跡で書かれた淡い紫のメッセージカード。
挫けそうになった時、部活を辞めてしまいたくなった時。
幾度となく、その言葉に助けられてきた。
今日は、7月10日。
期待しても、いいだろうか。
・スザクとルルーシュは幼馴染ではありません
・ルルーシュが女の子
・枢木がなんか別人
・二人はクラス別々で面識どころか喋ったこともありません
・現代パラレルです
以上を踏まえてお読み下さい。
いつからだろう。
大会があるたびに、下駄箱に入っている、小さな手作りのお守りと微かにラベンダーの香りがする几帳面な筆跡で書かれた淡い紫のメッセージカード。
挫けそうになった時、部活を辞めてしまいたくなった時。
幾度となく、その言葉に助けられてきた。
今日は、7月10日。
期待しても、いいだろうか。
ラベンダーの恋
「…………ない」
下駄箱を開けて目に入るのは、昨日帰り際に入れた、己が初めて他人に当てたメッセージカードと、薄汚れたスリッパだけだった。
他には何もない。
確かに、今日プレゼントが贈られてくるという保証があったわけではない。
ないのだが、楽しみにしていただけに、ショックは大きかった。
落胆し、深いため息を吐きながら下駄箱の扉を閉めると、挨拶の言葉とともに後ろから勢いよく背中を叩かれる。
朝から妙にテンションの高い彼が少しだけ羨ましい。
「なんだぁ、朝から溜息はいちゃって!幸せ逃げるぞ」
「…うるさい、リヴァル。お前少し黙ってろ」
それともその口二度と利けなくしてやろうか。
笑顔を浮かべながら半ば八つ当たり気味にそう言えば、きゃー、枢木くんってば恐いー!と、リヴァルはどこから出ているかもわからないような声で言う。
こいつ、本気で殴ってやろうか。
拳を握り締めると、うそうそ、冗談だから待って!と、リヴァルは慌て始める。
そんなリヴァルに冷めた視線を向け、俺は教室へと歩き出した。
後ろから呼び止める声が聞こえるが、無視だ、無視。
騒がしい廊下を歩く中、己の頭を占めるのは空っぽの下駄箱で。
入っていなかった。
ラベンダーの香りも紫のカードも。
胸の奥がちくりと痛んだことに、気づかないふりをした。
***
「スザクくーん、いつまでそうしてる気デスカー?」
おーい、もう放課後よー。
間延びした暢気な声が耳に入る。
一日中、事あるごとに何度も下駄箱を見ては落胆し、目に見えてわかるほど落ち込む俺に、彼はこうして何度も声をかけてくる。
度が過ぎると鬱陶しいことこの上ないが、彼のおかげで少しは気分を浮上させることが出来たのも本当だ。
「あれでしょ?例のあの子」
「…そう」
「諦め悪いなー、お前も」
「うるさい」
再び机に項垂れる俺に苦笑する声が落ちてきて、慰めるようにぽんぽんと肩を叩かれる。
「知らないんじゃないの?お前の誕生日」
「……やっぱり?俺もさ、少しそう思ってたんだけど」
「まぁ、いいじゃん。そんだけもらえれば十分だろー?」
リヴァルは袋の中に山積みになっているプレゼントを指しながら言う。
休みのたびに置いていかれるプレゼントたちはどれが誰のものだかわからない。
というより、正直興味がない。
彼女じゃなければ意味がないのだ。
「俺なんてさぁ、くれるの生徒会メンバーしかいないぜ?しかも共同で」
うわっ、俺っち何て淋しいの!
おどけた様に言うリヴァルに小さく呟く。
聞こえないんだけど、と口許に近づくので、恨みがましい、これでもかというくらいの低い声で言ってやった。
「それでもお前は会長から貰えてんだろ」
「…まぁ、そうですが」
いやー、うんうん、そうなんだよね。
と、頬を染める姿は正直言って気持ち悪い。
じとりと据わった目つきで睨みつければ、リヴァルはわざとらしく咳払いをして、口を開いた。
「でもさ、お前その子と話したこともなければ、顔も知らないし誰だかわからないんだろ?」
「だから、何?」
「やー、よく想っていられるなぁ、と」
確かに。
自分でも不思議だと思う。
名前もわからなければ、顔だって、学年だってわからない。
どうして自分はそんな子に惹かれるのか。
何度だって、そう思った。
でも。
確かにあの時は、今まで貰ったどんなプレゼントよりも、どんな言葉よりも、飾り気のない文字で書かれたたった数行の文が、本当に嬉しかったんだ。
「…部活、行ってくる」
「おー、そうしろそうしろ。そのほうが彼女も喜ぶよー!落ち込むなんてお前の柄じゃないし」
「お前、ホントに一言多いな」
鞄を持って立ち上がる。
そうだ。めそめそ気落ちするなんて、俺の柄じゃない。
部活を頑張って、大会にでれば、また、あの子はきっと、言葉をくれる。
きっと、見ていてくれるから。
下駄箱の前に立つ。
本日何度目か分からない。
中には己が入れた手紙と汚い運動靴が入っていることは分かっている。
それでも、まだ微かに期待している自分に苦笑しながら今度は躊躇なく下駄箱へと手をかけた。
「え」
開くと同時に微かに覚えのある香りが漂ってくる。
慌てて中を見れば、自分が宛てたカードの変わりに小さな箱が置かれていた。
それに添えられているのはいつもと違う、紫色の封筒で。
右下には小さくラベンダーの花が書かれている。
手に取ってみると、己とは違う几帳面な筆跡で『枢木スザク君へ』と書かれていた。
あの子だ。
落ち込んでいた気持ちが一気に浮上する。
弾む鼓動を感じながら、いつもの乱雑さはどこへ行ったのか、丁寧に封を切り、便箋を広げれば、瞳に映るのは綺麗な筆跡で書かれた己の誕生日を祝う言葉たち。
名前はいつもどおり書かれていない。
けれど、筆跡が、香りが、あの子からだと教えてくれる。
己の頬がだらしなく緩んでいくのがわかった。
こんな些細なことで、落ち込んだり、喜んだり。
一喜一憂するなんて、俺らしくないと思うけれど。
だけど。
「部活、行くか!」
そんな俺も、悪くない、なんて。
プレゼントと手紙を丁寧に鞄の中に入れ、昇降口を出る。
晴れ渡った青空の中、微かにラベンダーの香りがした。
「…………ない」
下駄箱を開けて目に入るのは、昨日帰り際に入れた、己が初めて他人に当てたメッセージカードと、薄汚れたスリッパだけだった。
他には何もない。
確かに、今日プレゼントが贈られてくるという保証があったわけではない。
ないのだが、楽しみにしていただけに、ショックは大きかった。
落胆し、深いため息を吐きながら下駄箱の扉を閉めると、挨拶の言葉とともに後ろから勢いよく背中を叩かれる。
朝から妙にテンションの高い彼が少しだけ羨ましい。
「なんだぁ、朝から溜息はいちゃって!幸せ逃げるぞ」
「…うるさい、リヴァル。お前少し黙ってろ」
それともその口二度と利けなくしてやろうか。
笑顔を浮かべながら半ば八つ当たり気味にそう言えば、きゃー、枢木くんってば恐いー!と、リヴァルはどこから出ているかもわからないような声で言う。
こいつ、本気で殴ってやろうか。
拳を握り締めると、うそうそ、冗談だから待って!と、リヴァルは慌て始める。
そんなリヴァルに冷めた視線を向け、俺は教室へと歩き出した。
後ろから呼び止める声が聞こえるが、無視だ、無視。
騒がしい廊下を歩く中、己の頭を占めるのは空っぽの下駄箱で。
入っていなかった。
ラベンダーの香りも紫のカードも。
胸の奥がちくりと痛んだことに、気づかないふりをした。
***
「スザクくーん、いつまでそうしてる気デスカー?」
おーい、もう放課後よー。
間延びした暢気な声が耳に入る。
一日中、事あるごとに何度も下駄箱を見ては落胆し、目に見えてわかるほど落ち込む俺に、彼はこうして何度も声をかけてくる。
度が過ぎると鬱陶しいことこの上ないが、彼のおかげで少しは気分を浮上させることが出来たのも本当だ。
「あれでしょ?例のあの子」
「…そう」
「諦め悪いなー、お前も」
「うるさい」
再び机に項垂れる俺に苦笑する声が落ちてきて、慰めるようにぽんぽんと肩を叩かれる。
「知らないんじゃないの?お前の誕生日」
「……やっぱり?俺もさ、少しそう思ってたんだけど」
「まぁ、いいじゃん。そんだけもらえれば十分だろー?」
リヴァルは袋の中に山積みになっているプレゼントを指しながら言う。
休みのたびに置いていかれるプレゼントたちはどれが誰のものだかわからない。
というより、正直興味がない。
彼女じゃなければ意味がないのだ。
「俺なんてさぁ、くれるの生徒会メンバーしかいないぜ?しかも共同で」
うわっ、俺っち何て淋しいの!
おどけた様に言うリヴァルに小さく呟く。
聞こえないんだけど、と口許に近づくので、恨みがましい、これでもかというくらいの低い声で言ってやった。
「それでもお前は会長から貰えてんだろ」
「…まぁ、そうですが」
いやー、うんうん、そうなんだよね。
と、頬を染める姿は正直言って気持ち悪い。
じとりと据わった目つきで睨みつければ、リヴァルはわざとらしく咳払いをして、口を開いた。
「でもさ、お前その子と話したこともなければ、顔も知らないし誰だかわからないんだろ?」
「だから、何?」
「やー、よく想っていられるなぁ、と」
確かに。
自分でも不思議だと思う。
名前もわからなければ、顔だって、学年だってわからない。
どうして自分はそんな子に惹かれるのか。
何度だって、そう思った。
でも。
確かにあの時は、今まで貰ったどんなプレゼントよりも、どんな言葉よりも、飾り気のない文字で書かれたたった数行の文が、本当に嬉しかったんだ。
「…部活、行ってくる」
「おー、そうしろそうしろ。そのほうが彼女も喜ぶよー!落ち込むなんてお前の柄じゃないし」
「お前、ホントに一言多いな」
鞄を持って立ち上がる。
そうだ。めそめそ気落ちするなんて、俺の柄じゃない。
部活を頑張って、大会にでれば、また、あの子はきっと、言葉をくれる。
きっと、見ていてくれるから。
下駄箱の前に立つ。
本日何度目か分からない。
中には己が入れた手紙と汚い運動靴が入っていることは分かっている。
それでも、まだ微かに期待している自分に苦笑しながら今度は躊躇なく下駄箱へと手をかけた。
「え」
開くと同時に微かに覚えのある香りが漂ってくる。
慌てて中を見れば、自分が宛てたカードの変わりに小さな箱が置かれていた。
それに添えられているのはいつもと違う、紫色の封筒で。
右下には小さくラベンダーの花が書かれている。
手に取ってみると、己とは違う几帳面な筆跡で『枢木スザク君へ』と書かれていた。
あの子だ。
落ち込んでいた気持ちが一気に浮上する。
弾む鼓動を感じながら、いつもの乱雑さはどこへ行ったのか、丁寧に封を切り、便箋を広げれば、瞳に映るのは綺麗な筆跡で書かれた己の誕生日を祝う言葉たち。
名前はいつもどおり書かれていない。
けれど、筆跡が、香りが、あの子からだと教えてくれる。
己の頬がだらしなく緩んでいくのがわかった。
こんな些細なことで、落ち込んだり、喜んだり。
一喜一憂するなんて、俺らしくないと思うけれど。
だけど。
「部活、行くか!」
そんな俺も、悪くない、なんて。
プレゼントと手紙を丁寧に鞄の中に入れ、昇降口を出る。
晴れ渡った青空の中、微かにラベンダーの香りがした。
Happy Birthday Suzaku!
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