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*『傍にいられるだけで、良かったのに。』の続きです*
暫くして寝息をたてはじめた彼女に視線を向ける。
いつもの強い光を宿した紫電は、今は雪のように白い瞼の下に隠されていて。
あどけない顔をして眠る彼女は幼い子供のようだった。
寒いのか、小さくくしゃみをして自分を抱きしめるようにして眠る彼女に風邪を拗らせてはいけないと己の上着をかけてやる。
きゅっとその細い指でそれを掴むその様はさながら小動物のようで。
「…いつもこんなだったら可愛いのに」
彼女の寝顔を見つめる。
待て、今、自分はなんと言った。
可愛い?この女が、か。
口を開けば悪態ばかりつく、この女が、かわいい…?
(…ありえない)
どうした、俺。
何で、こんな。
疑問を抱きながら再び彼女に視線を向ければ、何か口にしているようで。
聞き取るために小さな唇に耳を近づける。
「…くるるぎ」
あぁ、どうしよう。
どうしよう。
今まで、なんて可愛げのない女だと。
なんて、腹の立つ女だと。
そう、思っていたのに。
不覚にも、かわいいだなんて、思ってしまった。
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