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「ラベンダーの恋」の続きです。
そちらを先にお読みください。
言うつもりなんてなかった。
だって。
だって、あんな顔、見たくなんてなかった…から。
初めから、わかっていたことなのに。
覚悟なんて、もう、とっくにしていたつもりなのに。
なのに。
どうして、こんなに涙が出るんだろう。
そちらを先にお読みください。
言うつもりなんてなかった。
だって。
だって、あんな顔、見たくなんてなかった…から。
初めから、わかっていたことなのに。
覚悟なんて、もう、とっくにしていたつもりなのに。
なのに。
どうして、こんなに涙が出るんだろう。
溢れた、感情
一言で言えば、タイミングが、悪かったんだ。
はじめて一緒に帰ったあの日から、彼は私を家まで送ってくれるようになった。
短い帰宅路の中、普段はこれでもかというくらいの憎まれ口の叩きあいなのに。
この時間だけは、照れくさいのか、どうしてか二人とも余り口は開かなくて。
ただ、二人で満天の星空が広がる中を静かに歩いていくだけだった。
それはなんだかとても気恥ずかしいけれど。
そんな些細な時間でさえ、私は幸せだったんだ。
あの日も、私はいつものように彼が部活を終えるのを待っていた。
***
「悪い…!ルルーシュっ、遅くなった!」
「いや、私もやることがあったから…」
慌ててきたのだろうか。
学ランを少し着くずして、息を切らして彼は教室へ入ってきた。
ふわふわとゆれる淡い栗色の髪が月明かりに照らされ、きらきらと輝いている。
思わず、じっと見つめていると、彼のその翡翠と絡み合う。
慌てて視線を外すけれど、どこか妙な沈黙が続いてしまって。
それを破るように、口を開いた。
「今日は、いつにもまして、遅かったな。何かあったのか?」
「あ、いや…ちょっと」
言いよどむ彼に思い当たるのは。
「また、…告白か」
「おま…っ、またって!」
「違うのか?」
「いや、違わない…けど」
どうしてか彼はばつが悪そうに視線を逸らす。
見えなくなったその翡翠に言いようのない喪失感が生まれて。
それを打ち消すように慌てて出した声は上擦っていたかもしれない。
「付き合うのか?」
「ばっ…、付き合わねぇよ」
「…」
その…気になってる奴、…いるし。
彼は小さくそう呟くと照れたようにその栗色の髪をかき混ぜる。
彼は気付いているのだろうか。
自分の一言一言が、こんなにも私の心を掻き乱していくことを。
彼は照れくささからか、少し早口で言葉を募る。
「でさ、びっくりしたのはその後なんだよ」
言いながら私に背を向ける。
「好きな奴は誰だって詮索してきてさ、お前なんじゃないか!って」
「え…」
「な、驚くよな!付き合ってるんでしょってものすごい剣幕でさ!あ、ありえねぇよな!俺とお前が付き合うとか!」
ほんと、何言ってんだよ、ばっかじゃねぇの!なぁ。
同意を求めるように彼は私に声を掛ける。
何か返さないとと思っても、言葉が出なくて。
息の詰まる私に気付かないのか、彼は背を向けたままで言葉を繋いでいく。
「そういえば…さ、ほら、お前、そういう話きかねぇよな」
「…っ」
「誰か、いねぇの?好きな奴、とか…」
「…」
「ルルーシュ?」
誰か知らない人のことを考えて照れたように笑う彼に。
疑われた私との関係を、可笑しそうに笑う彼に。
黙り込む私を覗き込む、彼に。
私の中で、何かがはじけた。
「お前だよ」
覗き込んでくる翡翠をまっすぐ見つめて。
私は彼に想いを告げる。
「私は、お前が…枢木スザクが、好きなんだ」
彼の瞳が大きく見開かれ、小さく息を呑むのが分かった。
彼の戸惑いが、動揺が、空気を通して伝わってくる。
いつもまっすぐ見つめてくるその視線が揺らぐ様に。
そっと、瞳を伏せた。
「馬鹿、冗談だ」
戸惑う彼を安心させるようにそう言えば、彼はあからさまにほっとした姿を見せる。
強張った顔から緊張が取れた彼に、酷く、胸が痛んだ。
「だ、だよな。だって、俺とお前って、マジ考えらんねぇ…し、ごめん、俺、ちょっとマジだと…ルルーシュ?」
彼の事を見ることができなかった。
いつだって、どんな時だって、その姿から目を逸らしたくなんてなかったのに。
彼の声が鼓膜を打つたびに涙が溢れそうになって。
それを耐えることしか、今の私にはできなかった。
「ごめ…ん、先、帰って」
「え、ちょ、おい、ルルー」
「いいからっ!先に帰って…っ」
心配気に伸ばされた彼の手が、小さく弾かれる音がする。
弾かれた己の手を見つめ、戸惑いを隠せない彼を気にしている余裕なんて今の自分にはなくて。
私は、溢れる涙を抑えながら、ただ、黙って足元を見ていることしかできなかった。
「…わかった。外、暗いから、気をつけて帰れよ」
教室のドアが閉まると、だんだんと彼の足音は遠ざかっていって。
それが、まるで自分と彼の距離を表しているようで。
最後に見せた彼のちいさな優しさが、今の私にはとても、残酷なものだった。
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